2012年11月27日火曜日

2012年度はぴねす☆EIWAカレッジ閉講式

昨年からスタートした「はぴねす☆EIWAカレッジ」ですが、今年度も無事に講座を終えることができました。2012年度のテーマは「暮らしをゆたかに~自分の世界を広げよう~」でした。2011年度の講座を振り返って、多くの受講生から「知らなかったことを知る喜び」「発見の喜び」が語られました。それは、学生スタッフの胸に強く響きました。
そこで、2012年度はぜひ、あまり触れる機会がないけれど、知ったら楽しくて世界が広がる内容を講座で取り上げよう!と、このテーマに決定しました。

閉講式では、まず実行委員長の松浦さんから挨拶がありました。


世界を広げるための4つの講座について、1回目から簡単に振り返っていきました。
1回目は山田美代子先生による「音楽」、2回目はリチャード先生による「英語」でした。音楽では、触ったことのない楽器に触れ、演奏を楽しみました。また、英語では、自己紹介ができるように勉強をしました。松浦さんは、もっともっと英語が話せるようになりたいと強く思ったそうです。
3回目は、大野仁志さん、佐藤浩司郎さんによる「絵と写真」のワークショップでしたね。日本平動物園に出かけ、動物や友達の絵を描いたり写真を撮って、大きな作品を完成させました。4回目では「観光」を取り上げ、地元に目を向けて宝物を見つけ出して宣伝することをしました。

「4回の講座を通して、発見がありましたか?興味が持てることや、勉強してみたいことが見つかりましたか?」という松浦さんの問いかけに、多くの受講生が大きな声で返事をしてくれました。

他にも、学内ではぴねす☆の認知度が上がり、応援してくれる人が増えたこと、はぴねす☆の活動を通して受講生の皆さんと接することができて楽しかったことなどを話し、最後は、「4年生はこれで卒業しますが、また町で見かけたら声を掛けてね。1年間ありがとうございました!」と元気に締めくくってくれました。

私は、実はこの「町で見かけたら声を掛けてね。」という言葉に、とっても感動してしまいました。
地域で障害のある人が暮らすためには、充実した施設が一つあって優秀な職員がいることよりも、地域にその人のことを理解してちょっと気にかけてくれたり、困ったときに手を貸してくれる人があちらこちらにいるかが、鍵になると思うのです。
「おはよう。」と声を掛けてくれたり、レジでお金の支払いがわからなかったら「その100円出せばいいんだよ。」って言ってくれるような、ほんの小さなお手伝い。行く先々で手伝ってくれる人がいれば、常に介助者や支援者がくっついていなくても、生きていける人が沢山いると思います。

最近の日本の文献にはあまり紹介されないのですが、アドボケイト(権利擁護)には、セルフ・アドボケイト(自分自身・当事者による権利擁護)とシチズン・アドボケイト(市民による権利擁護)があると言われています。街中でほんの小さなお手伝いをしてくれる人、困ってたら「どうしたの?」って聞いてくれる人は、障害のある人にとってシチズン・アドボケイトなのだと思うのです。だから、シチズン・アドボケイトを増やしていくことが、障害のある人が暮らしやすい社会を創ること、優しい社会を作っていくことになるのではないでしょうか。

はぴねす☆は、ほんの小さな集まりで、場所も時間も限られているお付き合いですが、その中から、卒業後も地域で付き合っていくという思いが生まれたこと、シチズン・アドボケイトを生み出す土壌となっている(といったら言い過ぎかな?)ことが、とてもとても嬉しかったのです。この輪がもっともっと広がっていくといいなぁと、思いました。

すっかり感慨にふけってしまいましたが、まだ閉講式の途中でした!!

実行委員長挨拶の後は、修了証書の授与です。
僭越ながら、私がご挨拶と授与を担当させていただきました。挨拶では、「勉強することは、自分を守る方法を知ることです。知識が増えると、おかしいことにおかしいと言えるようになり、嫌なことは嫌と言えるようになります。自分に自信が持てると自分を好きになれます。それが、自分の権利を守る第一歩です。はぴねす☆EIWAカレッジでは、ただ勉強するだけでなく、みんなが自分の権利を守れるようになることも応援しています。」といったお話をさせていただきました。

昨年度は年4回の講座に連続して出席できることが応募条件でしたが、今年度は1回毎に応募できるよう、応募条件を変更しました。そのため、2回以上受講してくださった受講生を対象に修了証書をお渡ししました。(1回だけの参加の方には、参加賞のプレゼントがありました。)


1人ひとりの名前を呼んで、修了証書をお渡ししました。証書を受け取った後、講座の感想や、自分が今取り組んでいることや、次に頑張りたいことなどを、みんなの前で宣言してくれた受講生もいました。1年間の講座を終えて、それぞれの胸の中に湧き上がる思いがあったのだと思います。

ある受講生の方が、こんな言葉を言ってくれました。
「ぼくは、バカじゃありません。はぴねす☆EIWAカレッジで勉強を頑張っています。」
いつもニコニコ、朗らかな方で、物静かにお話をされる印象でしたが、この時はとてもはっきりした口調で大きな声で話してくれました。
多分、私が話したことを受けて、これまでの様々なことを思い出されたのだと思います。きっと、楽しいことばかりではなく、嫌な思いも悔しい思いもされたと思います。それでも、誇りを持ち、自分をさらに高めたいと思う姿に胸が熱くなりました。

ピープルファースト(知的障害者の当事者運動)のリーダーたちも、同じことを言っています。
「私たちは知恵おくれや障害者ではなく、まず人間として扱われたい(I want to be treated like people first.)。」と。

私たちはこの思いに向かい合い、自分にできることをしていかなくてはいけないと、そう思わされました。本当に、心から。

というわけで、証書授与の途中から涙でボロボロになってしまった私でしたが、閉講式を通して、改めて「はぴねす☆EIWAカレッジ」の良さを認識してしまいました。
それというのも、はぴねす☆を支えてくださる受講生のみなさん、講師の先生方、サポーターの皆さん、スタッフの皆さん、応援してくれる大学の皆さんのおかげです。ありがとうございました。

特に、学生スタッフの皆さんは、慣れないことばかりで大変だったと思いますが、本当によく頑張ってくれました。今年は、人数も少なくて一人あたりの負担も多かったと思いますが、最後まで投げ出さず頑張ってくれました。スタッフの皆さんがいたからこそ実現できた講座です。お疲れ様でした。

今年度のはぴねす☆EIWAカレッジはこれにて終了です。
次は、2月~3月に1年間の活動を振り返り、評価する「活動報告会」を開催する予定です。
お楽しみに。

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