2013年10月4日金曜日

研修報告 その2【ディスカバーJAPAN「だし」オープンカレッジ東京(in明星大学)に参加して】

前回に引き続き、8月に行った研修について、学生からの報告をお届けします。
今回は、3年生の櫻井美里さんのレポートです。
本文中にもありますが、櫻井さんは今年からはぴねす☆のスタッフに加わってくれました。
サポーターとしての経験もないまま、スタッフになったので、わからなくて戸惑ったことも多かったと思いますが、毎回とても積極的な姿勢で取り組んでくれています。

では、櫻井さんのレポートを紹介します。


ディスカバーJAPAN「だし」オープンカレッジ東京(in明星大学)に参加して

 

櫻井美里

 

私は、今年から「はぴねす」に入りました。はぴねすの講座に参加したのもまだ一回だけですし、今回のディスカバーJAPANも初めて参加させていただきました。そのため、とても新鮮な思いで臨みました。

率直な感想を言うと、とても楽しかったです。そして、参加させてもらっている間、私はいろんな思いを抱き、とても充実とした時間でした。グループで3つのだしをそれぞれ何のだしか話し合う際、グループの皆でだしの匂いを嗅いだり、色を見たり、「このだしは湯豆腐に合うだろうか」などと考え、意見を出し合いました。その時、知的障害をもつ人もそうではない人も関係なく、意見を出し合い、他の人の意見を聞いたときに「私もそうだと思う」と共感したり、「それは違うのではないか」と時には反対意見も出たりしました。その中で私は、とても良いグループワークだと思いましたし、知的障害をもつ、もたない関係なく共に同じ時間を過ごしていることがとても嬉しく感じました。そして、グループで決めたそのだしは、正解しているものもありましたが、残念ながら不正解のものもありました。しかし、共に喜んだり、悔しい気持ちになったり、グループの皆で気持ちを共有し合い、とても楽しかったです。終わったあとは、皆で「ありがとう」、「またね」などの言葉を交わしました。また皆さんに会えたらいいなと思いました。このように、かかわりの輪が広がっていくことはとても嬉しいです。このような思いを、初めてはぴねすの講座に参加したときにも感じたことを思い出しました。

今回感じたこの思いを大事にして、今後のはぴねすの講座でも一人一人とのかかわりを大切に深めていけたらいいな、と思います。そして「共生」ということについても、改めて考えていきたいと思います。今回、ディスカバーJAPANに参加できてとても嬉しく思いますし、本当によかったです。参加させていただいたことを感謝したいです。またこのような講座が開かれたら、ぜひ参加したいと思います。


櫻井さん、ありがとうございました。
人と人がつながるためには、「楽しさ」「うれしさ」時には「悔しさ」といった体験や感情が共有できることが大切だと気付かせてくれる体験でしたね。

障害のある方と関わるとき(例えば、ボランティアなど)、「優しさ」や「憐み」、そういったものが前面に押し出されてしまいがちですが、それでは長く付き合っていくことはできません。また、双方が影響を与え、補いあう相互的な関係ではなく、一方的に尽くす関係性になってしまいます。

『だれか、ふつうを教えてくれ!』という本の中で、筆者の倉本智明さんは「共生」について、時間と場所をただ共有することではない、と述べ、さらに次のように語っています

「今の目の前で進行している事態に、自分が何らかの影響をおよぼし、またおよぼされる位置に立つこと、そこから得られるよろこびや興奮、そして、時には失敗がもたらす苦しみの感情を他の参加者と同じだけの可能性でもって味わうことができてはじめて、本当の意味で『参加した』ということが言えます。

そして、このような参加が全員に保障されていなければ、「共生」が実現したとは言えない、と結んでいます。
レポートを読んで、「共生」に関するこの文章を思い出しました。

櫻井さんの報告の中では、参加者同士が同じように楽しんだり悔しがったりしている姿が浮かび上がってきます。オープンカレッジ東京が目指した「共生」の取り組みは、ねらい通り実現していたようですね。
今後は、共生を実現するために、どんな仕組みを考えてどのように講座を組み立てたのか、その方法について考えていくと、より深まっていくと思います。これは、はぴねす全体で取り組みたい課題ですね。

では、次の報告を楽しみにお待ちください。