2012年4月30日月曜日

2012年度 学習サポーター養成講座 開催

ニャンコ先生です!

2012年度になり、「はぴねす☆」も新しいメンバーとともに、新しい講座づくりに忙しい毎日を送っています。

今日は、6月から始まる「はぴねす☆EIWAカレッジ」を一緒に盛り上げてくれる学習サポーターを養成する講座『来て!見て!感じよう!~知的障害者の世界~』の様子をお伝えします。

講座は、4月28日(土)13時から静岡英和学院大学のN201教室で行われました。

学外から来てくださる方もいらっしゃるので、キャンパス内には案内板を用意しました。
そして、スタッフたちは朝10時から集合して、準備万端、本番に備えています。


見てください!この( ↑ )美しい資料の配置!!スタッフの気合が感じられます。

さあ、いよいよ始まりました!
会場には、浜松からやってきてくれた高校生や、ホームページをみて駆けつけてくださった方、本学の学生など約40名が集まってくれました。


まずは、実行委員長の松浦さんから、オープンカレッジについての説明がありました。オープンカレッジとは、大学の持っている資源を生かして地域に貢献する取組のことをいいます。知的障害者を対象としたオープンカレッジは、全国的に見てもまだまだ実施されている地域が少ないのが現状です。本学では、「はぴねす☆EIWAカレッジ」という名称で、昨年度から本格的にスタートしました。

次に、ニャンコ先生から、知的障害について簡単な説明をしました。
「理解度チェック」と題した7つの質問と解説で、理解を深めた上で、体験コーナーへとつなぎます。
この体験は、厳密に言うと、知的障害そのものを体験するものではありません。しかし、知的障害があることによって、多く体験するであろうシチュエーションを体験することで、障害のある人の気持ちを理解するきっかけにしてもらうことが狙いです。

今回の体験は二つのコーナーから成り立っています。
一つ目は、「言葉がつたわらないって、どういうこと?」です。
これは、まったく言葉がわからない環境に放り込まれたら、どんな気持ちがするかを体験してもらうコーナーです。
参加者の中から1名の方に協力をお願いして、一旦教室の外に出ていてもらいます。その間に、なんと教室は「ピカピカ王国」に変わってしまいます。「ピカッチ」と「ピカリン」という二人のキャラクターが登場し、「ピカ語」で会話をします。会場の皆さんも、二人のやり取りを見て、ピカ語を理解できるようになりました。
そうです!「ピカピカ王国」では、「ピカ語」が公用語、ピカ語以外は使用禁止なのです。

すっかり設定が変わってしまった教室へ、何も知らない協力者の方が戻ってきます。
「ピカリン」に「ピカピカ」と話しかけられ、戸惑う協力者。
何かを頼まれていることはわかるけれども、何を頼まれているのかまではわかりません。


途中から、「ピカッチ」も応援に駆け付けます。二人がかりで、何かを伝えますが、一向に通じません。だんだん興奮して、ピカッチとピカリンは、早口でまくしたてます!
協力者の方は、不安そうな表情をしていますね。


ジェスチャーや、絵を用いることで、何とか訴えが通じて、ピカリンは探していた軍手を見つけてもらうことができました。よかったよかった。
協力者の方には、どんな気持ちになったのか、感想をお聞きすると…
「何を言っているのかわからなくて、不安な気持ちと、相手に対する申し訳なさを感じました。もし、こういう状況が続くとしたら、あまり人と話したくなくなるし、同じような仲間とばかり一緒にいるようになると思います。」とのこと。
私たちも言葉のわからない外国にいったら、同じような気持ちになることでしょう。

相手の不安な気持ちを理解した上で、ゆっくり、はっきりとしゃべることを心掛けたいですね。
また、身振り手振りを用いたり、絵や写真、実物などを使うと、より理解がスムーズになります。

そして二つ目の体験は、「どうしてうまくできないの?」です。
知的障害をもつ方の中には、指先を使う細かい作業が苦手な方もいます。また、障害の特性から、子ども扱いされやすく、自分でやりたいと思っていても、お世話をされてしまうことが多くあります。
自分でやりたいのにできない、お世話されてしまう人の気持ちを疑似体験するコーナーです。

この体験は、軍手をブカブカにはめた状態で、折り紙で鶴を折ります。制限時間は、2分間です。
普段は、楽々折れる折り紙も、軍手のせいで思うように折れません。


みなさん、苦戦しているようですね。周りでは、はぴねす☆のスタッフが「急いでくださいね~」「早く早く!」と、声をかけて回っています。ラスト10秒は、スタッフ全員でカウントダウン。すごいプレッシャーです。そして、あっという間に、タイムアップ。最後まで鶴を折れた人はいませんでしたね。


一生懸命、取り組んでいるのに、イライラした態度でせかされたり、せっかく折ったものを「汚い」と言われたりしたら、誰だって悲しいし、嫌な気持ちになりますね。
この体験を通して、うまくできないことがあっても、周囲はゆったりとした気持ちで待つこと、また、できることは自分でやってもらい、できないことだけお手伝いをすることが大切だということを、皆さんに感じてもらえたことと思います。

なかなか濃厚な1時間でしたね。ここで20分間の休憩に入りました。
実は、休憩にもこだわりがあります!
学生ラウンジに飲み物とお菓子を用意したのですが、ここで提供しているお菓子は、障害のある方が働いている施設で作られたクッキーなのです。雨の中、スタッフが買い出しに出かけて用意をしたのものです。


とってもおいしいと好評で、あっという間になくなってしまいました。(ニャンコ先生は1個しか食べられなかったデス。)
みなさんに、喜んでもらえてよかったですね。

さて、休憩を終え、後半戦のスタートです。
体験コーナーのまとめとして、「当事者が支援者に求めていること」について、ニャンコ先生からお話をしました。その中で、障害のある本人が声を上げている運動や、カナダの身体障害のある方が作った「支援に関する32か条」などを紹介しました。


写真は、「支援に関する32か条」の1番目です。「障害を、問題として見ないでください。」と書いてあります。その他にも、「う~ん…」と考え込んだり、「ハッ」とするような文言が、この32か条の中には並んでいます。ニャンコ先にとっても、この32か条は原点に立ち返らせてくれる、とても大切なものです。
参加された方の心に、きっと響いたことでしょう。

そして、本日の目的の一つ、学習サポーターについての説明がありました。


スタッフから、自身の経験をもとに、どんな場面でどんな支援を行うのか、具体的に説明しました。
サポーターは、
①教室やトイレ等への移動の支援
②講座の内容が理解できるようサポートする学習の支援
③他の人と仲良くできるように働きかける橋渡しの支援
④自信が持てるように働きかける精神的な支援
などを行います。

最後は、スタッフによる挨拶で幕を閉じました。


参加してくださった方へのお礼の言葉と、「はぴねす☆EIWAカレッジ」への参加呼びかけがありました。

参加者アンケートの結果では、多くの方がオープンカレッジや知的障害についてよく理解できたと、高い評価をいただきました。また、「参加してよかった」「障害について考えるきっかけになった」「スタッフの動きがきびきびしていてよかった」といううれしい感想もありました。
参加してくださったみなさん、ありがとうございました。

また、はぴねす☆スタッフのみなさん、お疲れ様でした。

6月よりスタートする講座もお楽しみに!